今年のシルバーウィーク期間は9月16日(月)と、23日(月)というのふたつの祝日がお休み。ゴールデンウィークのような大型連休ではないですが、夏休みに見逃した展覧会や9月スタートの展覧会に足を運んでみる絶好のチャンスと言えるかもしれません。本記事ではシルバーウィーク期間(9月14日~23日)に東京で開催される展覧会のなかから編集部が注目する展覧会を紹介します。
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7~10月のアーティゾン美術館にはクロード・モネ、パブロ・ピカソ、藤島武二、岸田劉生、琳派による作品や抽象絵画まで、古今東西、様々な分野の作品から構成される石橋財団コレクションのアート作品が集結。美術品がどこでどのように生まれ、飾られ、受け継がれたかという、作品の制作/受容にまつわる「空間」を没入感あふれる展示方法を通じて問い直すような機会となった。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:アーティゾン美術館
会期:7月27日~10月14日
ジャン=ミッシェル・フォロンは、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとり。若き日に偶然出会ったシュルレアリスム画家、ルネ・マグリットの壁画に感銘を受け、絵画世界に惹きつけられたフォロン。本展は、デジタル化やパンデミック、戦争など、社会的に大きな曲がり角にある現代において、環境や自由への高い意識を持ち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術を、いまあらためて見直す機会となる。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:7月13日〜9月23日
本展では、野生動物、山の人々の生業、移りゆく景色や植生、生命の輝きや自然の驚異をとらえる5人の作家を紹介する。自然とともに生きるみずみずしい歓喜に溢れた作品群は、ときに暴力的に牙をむき、したたかな生存戦略をめぐらせる自然の諸相を鮮烈に思い起こさせる。都市生活で希薄になりがちな、人の力の及ばない自然への畏怖や敬意をも感じさせてくれるような機会になりそうだ。また、TABでは担当学芸員へのインタビューも公開中。こちらも展示会の前後にぜひ読んでみてほしい。
会場:東京都美術館
会期:7月20日〜10月9日
人気絵本『100かいだてのいえ』の作者いわいとしおは、日本を代表するメディアアーティスト岩井俊雄でもある。本展は、岩井のメディアアートと、その原点となる19世紀の映像装置をつなぎ、光と動きが生み出す視覚体験の面白さと、それらを作り上げた科学者や芸術家たちの飽くなき探求心を解き明かすような機会となった。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
『X』『魔法騎士レイアース』『カードキャプターさくら』 など、多彩な作品を世に送り出してきた創作集団CLAMP。本年度で35周年を迎えるCLAMPのこれまでの創作活動と世界観を「CLAMP」の頭文字からとった「COLOR」「LOVE」「ADVENTURE」「MAGIC」「PHRASE」という5つのテーマを通じて辿る大規模原画展が開催される。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:国立新美術館
会期:7月3日~9月23日
「高橋龍太郎コレクション」は90年代半ばより収集が始められた、質・量ともに日本最大級の現代アートコレクションのひとつだ。本展では、会田誠、草間彌生、鈴木ヒラク、千葉正也 、奈良美智、村上隆といった日本を代表するアーティストによる、戦後日本の自画像と言えるような作品や、東日本大震災以降に生まれた新たな高橋龍太郎コレクションの流れが紹介される。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:東京都現代術館
会期:8月3日~11月10日
キャリアの最初期となる1990年代より、日常生活や社会現象など身の回りの出来事への関心を起点に、コミュニケーションを内包・誘発する表現活動を継続してきた開発好明の東京初個展。開発の作品・プロジェクト約50点を通じて、「ひとり民主主義」と称される彼の作品世界を存分に体感できる機会となっている。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:東京都現代術館
会期:8月3日~11月10日
幼少期に経験した戦争の記憶と、その後に触れたアメリカ大衆文化からの影響が色濃く反映された、色彩鮮やかな作品で知られる田名網敬一。最初期のポップアート作品から、60年代後半~70年代初めにかけて制作されたグラフィックデザインやイラストレーション、80年代における極彩色の木彫シリーズ、新作のペインティングや立体作品、アニメーションまでが展示され、アーティストのキャリアを総観できるような展覧会になっている。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:国立新美術館
会期:8月7日~11月11日
昭和モダンのアートシーンを飾ったモザイク作家・板谷梅樹は、かつての日本劇場(日劇)のモザイク壁画、瀟洒な飾箱や飾皿、帯留やペンダントヘッドなどを手がけていた。本展は、梅樹作品が一堂に会する初の展覧会であり、昭和29年に制作された現存する最大の壁画《三井用水取入所風景》をふくむ住友コレクションの名品が展示される。
会場:泉屋博古館東京
会期:8月31日〜9月29日
SIDE COREは、公共空間や路上を舞台としたアートプロジェクトを展開するアートチーム。高速道路や線路、地下水路を撮影した映像作品や、公共空間で見られる街灯やガードレール、道路工事のサインなどを素材としたインスタレーション作品、ネズミの人形が夜の東京を歩くドキュメント映像など、都市の独自な公共性や制度に着目し、それらに介入/交渉することで作品作りを行う彼らの、東京では初の大規模な個展が開催中だ。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:ワタリウム美術館
会期:8月12日〜12月8日
自然の諸要素と日常のささやかな事物を受け止め、「根源的な生の光景」を表現してきた内藤礼。本展の企画は150年の歴史を持つ東京国立博物館の収蔵品や建築と内藤の出会いがきっかけになっており、縄文時代の土器や同館の建築にインスピレーションを受けた作品が展示されている。また、TABではアーティストへのインタビューも公開中。こちらも展覧会の前後に読んでみてほしい。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:東京国立博物館
会期:6月25日〜9月23日
「建築とは<からまりしろ>をつくることである」というコンセプトをもとに、太田市美術館・図書館(群馬県)や八代市民俗伝統芸能伝承館(熊本県)など、数々の建築デザインを手がける平田晃久。最近では東京・原宿に完成した商業施設「ハラカド」の外装・屋上のデザインを手がけたことも記憶に新しい。現在は練馬区立美術館の改装設計にもかかわる平田の仕事を現在進行中のプロジェクト、そして未来への展望を踏まえて紹介する。
会場:練馬区立美術館
会期:7月28日〜9月23日
六本木ヒルズ内の東京シティビューでは、2023年にロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーのリニューアルオープン記念として開催されたポール・マッカートニーの写真展が巡回中。本展では、ビートルズが社会現象となった1963年11月~64年2月にかけてポール・マッカートニーが撮影した写真が公開されており、60年前からネガやコンタクトシートのまま保管されていた貴重な未公開写真を含む、約250点が並んでいる。
会場:六本木ヒルズ 東京シティビュー
会期:7月19日~9月24日
古今東西の文学、絵本、漫画、映画など、様々なジャンルの作品に登場するオバケ。怖いのにかわいい、会いたくないのに会ってみたい、そんな不思議な魅力を持ったオバケをテーマにした本展では、オバケ屋敷、落語、音楽、銭湯、アニメーションなどの多様なクリエーションを通じて、その魅力を楽しみつくすような機会となる。見て、聴いて、感じて、知って、五感すべてを総動員させながら鑑賞できる本展は、子供たちの美術館デビューにもぴったりだ。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:PLAY! MUSEUM
会期:7月13日~9月29日
地球最大の生物群でありながら、いまなお新発見が眠る昆虫の世界。本展では、国立科学博物館の研究者による、マニアックなセレクトの昆虫標本や、2mを超える巨大模型、最新の昆虫研究の動向を織り交ぜ、カブトムシやクワガタムシといったおなじみの昆虫はもちろん、クモやムカデなどを含む「ムシ」たちのまだ見ぬ驚きの世界を「見る」「触る」「嗅ぐ」「聞く」といった感覚を通じて紹介する。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:国立科学博物館
会期:7月13日〜10月14日
19世紀末フランスを代表する画家、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。本展では、ロートレックによる紙作品の個人コレクションとしては世界最大級であるフィロス・コレクション全面協力のもと、約240点の作品が集結。素描作品や、ポスターを中心とする版画作品、雑誌や書籍のための挿絵、ロートレックが家族や知人にあてた手紙、ロートレックの私的な写真などを通じて画家の全貌に迫るような機会となった。
会場:SOMPO美術館
会期:6月22日〜9月23日
実業家・投資家である植島幹九郎が収集した現代アートのコレクション「UESHIMA COLLECTION」の一般公開を目的に作られた美術館UESHIMA MUSEUMがオープン。池田亮司、オラファー・エリアソン、シアスター・ゲイツ、塩田千春、名和晃平、村上隆など国際的に活躍するアーティストの作品が一堂に会する本展。展示の様子はこちらのフォトレポートから。金沢21世紀美術館館長、東京藝術大学名誉教授の長谷川祐子によるレビューも展覧会の前後に読んでみてほしい。
会場:UESHIMA MUSEUM
会期:6月1日〜12月末終了予定
井嶋 遼(編集部インターン)