今年のシルバーウィーク期間は9月16日(月)と、23日(月)というのふたつの祝日がお休み。ゴールデンウィークのような大型連休ではないですが、夏休みに見逃した展覧会や9月スタートの展覧会に足を運んでみる絶好のチャンスと言えるかもしれません。本記事ではシルバーウィーク期間(9月14日~23日)に東日本で開催される展覧会のなかから編集部が注目する展覧会を紹介します。
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人類は、常識や慣習から逸脱した異なるものをどのように認識し、説明し、描いてきたのか。本展は、人魚や龍、河童など、想像界の生きものの多様性について祭具、衣装、絵画、彫刻、書籍を通して紹介し、人間の想像と創造の力の源泉を探る。プエルトリコのヴェヒガンテ衣装や、ソロモン諸島のトビウオ漁用釣具、インドネシアの舞踏劇ワヤン・オランの衣装《ジャタユ》など、世界各地の人びとが創り出した不思議な生きものたちが集結する予定だ。詳細はこちらのニュースから。
会場:国立アイヌ民族博物館
会期:9月14日~11月17日
AOMORI GOKANアートフェスの注目展示のひとつが、近代以降の人間中心的な自然観を批判的に問い直す企画展「野良になる」だ。国内外の若手作家の作品を中心に、彫刻、映像、ウールのタペストリー、サウンド、インスタレーション、食など、多岐にわたる表現形式で現代アートを楽しめる展覧会となっている。
会場:十和田市現代美術館
会期:4月13日〜11月17日
鴻池朋子の身体は東日本大震災以降、地球の振動を新たな画材と感じ、旅をしながら、土木工事や縫いものをメディアとした「絵」を描いてきた。展覧会タイトルにある《メディシン・インフラ(薬の道)》は鴻池が各地を巡り、縁のあった場所に自作を展示保管してもらうというアートプロジェクトであり、本展は同プロジェクトを含む、彼女の旅を通じた制作活動を紹介する。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:青森県立美術館
会期:7月13日~9月29日
コントロールの効かない存在としての自然をありのままにとらえ、それらとの関係構築を試みてきたアートユニットの山下麻衣+小林直人。本展では映像インスタレーションを中心とした過去の実践を網羅的に紹介。屋外広場では、災害やパンデミックによって可視化された人間と自然の不安定な関係や、現在の深刻な世界情勢における他者との関係性を再考するような参加型の新作も発表される。TABではアーティストへのインタビューを公開中。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:水戸芸術館 現代美術センター
会期:7月27日~10月6日
Nerhol(ネルホル)は、グラフィックデザイナーの田中義久と彫刻家の飯田竜太によるアーティスト・デュオであり、同じ被写体の写真を積み上げた彫刻作品などで知られている。公立美術館では初の大規模個展となる本展では、ふたりの対話を原点とし、写真と彫刻、自然と人工、言語と図像といった様々な境界を越境する多様な表現を、千葉の土地や歴史にまつわる最新作とともに紹介する。
会場:千葉市美術館
会期:9月6日~11月4日
ドイツを拠点に活動する西川勝人は光と闇、その間の陰影に心を配り、多様な技法を用いた作品を、40年以上にわたり手がけてきたアーティストだ。本展は、1980年代より現在まで、一定して静けさという特質を保持し続ける西川作品の美学に近づこうとする日本初の回顧展。彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約60点が、作家自身の構成によって展示され、一人ひとりが作品世界に没入できるような機会となる予定だ。
会場:DIC川村記念美術館
会期:9月14日〜2025年1月26日
画家/映像作家の石田尚志は、自らが描いた絵画を撮影する映像作品で高い評価を受けるアーティスト。2015年以来の大規模な個展となる本展では、初期の未発表作、映像と立体を組み合わせたインスタレーション、キャンバス絵画などを通じて、作家の近年の展開を辿る。
会場:神奈川県立近代美術館 葉山
会期:7月13日~9月28日
フィリップ・パレーノは現代のフランスを代表するアーティストのひとりであり、映像、彫刻、サウンド、オブジェ、テキストやドローイングなどを通して、現実/フィクション/仮想の境界や、実物と人工物とのあいだに生じる奇妙なずれに意識を向けてきた。本展では、彼の代表作である映像作品《マリリン》をはじめ、ドローイングから立体、映像、大規模なインスタレーションまで、幅広い実践が多面的に紹介される。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:ポーラ美術館
会期:6月8日~12月1日
聖母子像やスフィンクス、性別を感じさせない静謐な空気をまとった人物像などで知られる舟越桂。本展は3月29日に没した彫刻家の足取りをたどる機会となる。また、本館ギャラリーの向かいの建物では、「彫刻の森美術館 名作コレクション+舟越桂選」と題し、彫刻の森美術館が所蔵する名作の数々と、舟越が選出した現代の作家5名(三木俊治、三沢厚彦、杉戸洋、名和晃平、保井智貴)の作品が合わせて展示されている。こちらもぜひチェックしてみてほしい。展示の様子はフォトレポートから。
会場:彫刻の森美術館 本館ギャラリー
会期:7月26日〜11月4日
グラフィックアートの可能性を追求したオランダの画家マウリッツ・コルネリス・エッシャー。遠近法や、幾何学図形、人間の知覚構造に強い関心を抱き、芸術と科学とを融合させた彼の作品は、見る人の視覚を刺激し、多くの驚きを与えてきた。本展では初期から晩年までの作品を通じて、エッシャー作品の不思議のヒミツを紹介する。 展示の様子はこちらのニュースから。
会場:豊田市美術館
会期:7月13日~9月23日
1982年の開館当初から優れたデザインの椅子を収集し、常時数種類を館内に設置してきた「椅子の美術館」こと埼玉県立近代美術館と愛知県美術館が共同企画した本展。椅子の登場するアート、ダンス、映像作品などを通じて、椅子という身近な存在から社会/人間のあり方への考察をうながす機会となる。埼玉県立近代美術館での展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:愛知県美術館
会期:7月18日〜9月23日
「人間は自然に内包される」を理念に、新潟県十日町市・津南町の約760㎢の広大な土地を美術館に見立てた「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、自然を舞台にした芸術祭の草分け的存在でもあり、今年で25周年を迎える。総合ディレクターは北川フラム。
本年度の注目展示には、越後妻有里山現代美術館 MonETにて開催されるイリヤ・カバコフ 「知られざるカバコフ 生きのびるためのアート」と、ニキータ・カダンの個展「影・旗・衛星・通路」というウクライナにまつわる2つの展示などがあげられる。TABでは同企画のキュレーションを担当するニキータ・カダンへのインタビューを公開中。こちらもぜひチェックしてみてほしい。詳細はこちらのフォトレポートから。
会場:越後妻有里山現代美術館 MonETほか
会期:7月13日〜11月10日
井嶋 遼(編集部インターン)