2025年2月27日から6月8日にかけ、東京都写真美術館にて「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」展が行われる。本展は、1963年生まれの写真家・アーティストの鷹野隆大による初公開作品を含めその軌跡を概観する個展となる。
鷹野は写真集『IN MY ROOM』(2005)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞し、現在も国内外で活躍を続ける。鷹野は『IN MY ROOM』に代表されるセクシュアリティをテーマとした作品と並行し、「毎日写真」や「カスババ」といった日常のスナップショットを手がけ、さらに東日本大震災以降、「影」を被写体とした写真の根源に迫るテーマにも取り組んでいる。本展のタイトルである「カスババ」とは鷹野による造語で、カスのような場所(バ)の複数形だという。
大規模な自然災害や感染症の世界的流行、経済発展による環境破壊や都市開発など、急速な時代の変化の渦中を生きている私たち。鷹野は美しいものだけではない現実を受け入れ、弱いものもみにくいものもそのまま、むき出しのイメージを見る者へ提示する。