公開日:2024年9月19日

大阪中之島美術館、2025年度の展覧会スケジュールが公開

「大カプコン展」やサラ・モリス展から、シュルレアリスム展、上村松園展まで

2022年に開館し、19世紀後半から現代までの美術とデザインを中心に、6000点を超えるコレクションを所蔵している大阪中之島美術館。日本と海外の代表的な美術作品を核としながら、地元大阪で繰り広げられた豊かな芸術活動にも目を向けている。このたび、同館で2025年度に開催される展覧会のラインナップが発表された。4階、5階の展示室でそれぞれ行われる7つの展覧会を紹介する。

「大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション」/2025年3月20日〜6月22日

家庭用ゲーム機の登場から約半世紀が経ち、私たちの生活に広く浸透しているビデオゲーム。1983年の創業から世界的ゲームメーカーに成長した現在まで本社を大阪に置いているカプコンは、数多くのタイトルで世界中の人々を魅了してきた。本展では、開発者たちの「手」による企画書や原画、ポスターやパッケージを含むグラフィックワーク、体験型コンテンツ、最新技術などを通して、ゲームが生まれるまでのプロセスとそこに関わるクリエイターの想像力や実現力を紹介。日本のゲーム文化をとらえなおす機会の創出を目指す。

「大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション」キーヴィジュアル

「生誕150年記念 上村松園」/2025年3月29日〜6月1日

女性芸術家がまだ少ない時代に若くして頭角をあらわし、明治から昭和にかけて60年におよぶ創作を通して、人物画の第一人者として独自の境地を切り拓いた上村松園(1875〜1949)。浮世絵などの古画の研究や、伝統芸能、古典文学などの豊かな知識をもとに描かれた清澄な女性像は、現在も見る者を惹きつけている。上村松園の生誕150年を記念して行われる本展では、多数の作品群を通してその画業を紹介。女性として初めて文化勲章を受章した松園の芸術の真価を、あらためて探る機会となる。

上村松園 わか葉 1940  名都美術館(前期展示)
上村松園 母子(重要文化財) 1934 東京国立近代美術館(後期展示)

「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」/2025年6月21日〜8月31日

2000年に京都国立博物館で開催された展覧会以前は一般の人々にとって広く知られる存在ではなかった伊藤若冲(1716〜1800)のように、「知られざる鉱脈」である、まだ世に知られていない作者や作品に光を当てる展覧会。縄文から近現代までの「鉱脈」を掘り起こし、それらが今後の日本美術史に定着していくことを目標としている。

牧島如鳩 魚籃観音像 1952 足利市民文化財団

「小出楢重展(仮称)」/2025年9月13日〜11月24日

大阪市出身で、近代日本を代表する洋画家のひとり、小出楢重(1887〜1931)の25年ぶりの回顧展。「裸婦の楢重」と呼ばれるように裸婦像の名手として知られる楢重は、43歳で急逝するまで油彩画を追求し続けた。今回の展覧会では、初期から晩年までの画業を各時代の代表作とともに辿り、その油彩画の魅力に迫るほか、素描、ガラス絵、装幀、挿絵、随筆などで発揮された多彩な才能についても紹介する。

小出󠄀楢重 雪の市街風景 1925 芦屋市立美術博物館

「新時代のヴィーナス!アール・デコ100年展」/2025年10月4日〜2026年1月4日

2025年は、1925年にパリで開催された現代産業装飾芸術国際博覧会が100周年を迎える年。装飾芸術に焦点を当てたこの博覧会は「アール・デコ博」と呼ばれ、以降アメリカをはじめとする諸外国に国際的な影響をおよぼした。本展では、アール・デコと呼ばれる様式のなかでも、とくに女性と関わりの深いデザイン作品にフォーカスし、当時のグラフィック、ファッション、ジュエリー、香水瓶、乗用車などを紹介。100年前の「理想的な女性」像を振り返り、そのデザイン諸相を再発見する展覧会となる。

BMW 315/1 ロードスター 1935 堺市 堺市ヒストリックカー・コレクション
ユップ・ウィールツ ヴォーグ 今年の冬の香水はこれだ 1925 サントリーポスターコレクション(大阪中之島美術館寄託)

「シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ(仮称)」/2025年12月13日〜2026年3月8日

1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけた動向であるシュルレアリスム(超現実主義)。当初は文学における傾向として起こり、やがてオブジェや絵画、写真・映像といった視覚芸術をはじめ、広告やファッション、インテリアなど幅広い展開を見せた。本展では、「表現の媒体」をキーワードにシュルレアリスムを解体し、シュルレアリスム像の再構築を目指す。

ルネ・マグリット レディ・メイドの花束 1957 大阪中之島美術館

「サラ・モリス」/2026年1月31日〜4月5日

ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、サラ・モリスによる日本の美術館では初となる回顧展。モリスは、大都市の風景を平面に変換した抽象絵画や、それを建築的に展開させたパブリックアート、都市の生態を切り取った映像作品など、多岐にわたる創作活動を続けている。大阪中之島美術館は、モリスが2018年に大阪を舞台に制作した映像作品《サクラ》、その撮影にインスパイアされた絵画作品《サウンドグラフ》シリーズなどを収蔵している。本展では、これらの近作に加えて、代表作である都市名を冠した幾何学的な絵画や初期作品、これまでの映像作品を一堂に紹介する。

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