公開日:2024年6月6日

子供と行きたいおすすめ美術館【東京編】 子連れ、親子でアートを楽しもう!

子供と大人が一緒に楽しめる都内の美術館を6ヶ所ご紹介。休憩室や授乳室、ベビーカーレンタルの情報も。

PLAY! PARK くしゃくしゃおばけ 提供:PLAY!

子連れで美術鑑賞に行ったことがありますか?

Tokyo Art Beatで行った【子連れ美術鑑賞についてのアンケート】では、701人もの回答が集まるなど、大きな反響が寄せられた。

7歳の子供と暮らす著者も、赤ちゃんのときから一緒に美術館におでかけをしていたひとり。お昼寝しているタイミングを見計らってベビーカーでギャラリーや美術館で展覧会を見て、いろんな地域の芸術祭にも一緒に出かけて行った。

ただ、子供と一緒に鑑賞することが難しいと思う時もあった。歩きはじめた頃には作品に触ろうとするのを止めるのに必死だったときもあったし、静かな展示室に大きな泣き声が響いて、慌てて出たこともある。

それでも、アーティストが子供とめいっぱい遊んでくれた時間や、体験型の展示で目をキラキラさせて楽しそうに駆け回る姿など、美術館で子供と過ごした忘れられない思い出が沢山ある。その年齢だからこそ、子供と一緒だからこそ、楽しめるかけがえのない時間はきっとあると思うのだ。

この記事は、子供と一緒に楽しむ美術館のおでかけへのお誘いである。美術館の方にもご協力いただき、お話を伺いながら、おススメポイントをまとめた。どうか素敵な鑑賞の時間となりますように。

乳幼児向けの美術館情報は以下の記事に詳しいのでぜひチェックを!

PLAY! MUSEUM:夢中になっていたずらしよう! 

2020年立川駅北口にオープンしたGREEN SPRINGSにある、美術館と子供の遊び場を中心とした複合文化施設PLAY!

PLAY! MUSEUMは、絵とことばがテーマの美術館。これまでに「エルマーのぼうけん」展、「谷川俊太郎 絵本★百貨展」「コジコジ万博」「クマのプーさん」展など、大人と子供が一緒に楽しむことができる展覧会を開催してきた。五感を使ったり、参加型の体験展示など、その展示方法も工夫されている。

PLAY! MUSEUM 「ふたり 矢部太郎展」会場写真 撮影:吉次史成

PLAY! PARKは、「未知との出会い」を合言葉にした屋内広場。定期的に入れ替わる「大きなお皿」では「くしゃくしゃおばけ」や「バルーン・モンスター」など、生活用品を素材にした子どものいたずら心を存分にくすぐる遊具を展開。2歳以下の赤ちゃんが遊べる「小さなお皿」や、好きな素材で表現できる「ファクトリー」、アニメーションを上映する「シアター」など、遊ぶエリアが沢山。「日替わりのワークショップ」も開催されている。

PLAY! PARK くしゃくしゃおばけ(提供:PLAY!)

GREEN SPRINGSの隣には、巨大トランポリン「雲の海」などの遊具がある国営昭和記念公園が広がる。晴れた日に、ピクニックを兼ねて遊びに行くのも楽しい。

おむつ替えスペースあり、授乳室あり

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス:お絵描きした魚が泳ぎだす「学ぶ!未来の遊園地」

麻布台ヒルズに2024年2月にオープンした森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス。ここはアートコレクティブ・チームラボのアート群による「地図のないミュージアム」。境界のないアート空間に全身で没入し、探索することができる。

チームラボ スケッチオーシャン 2020- Interactive Digital Installation Sound: Hideaki Takahashi © teamLab Courtesy of Pace Gallery

子供と一緒に楽しみたいのは「学ぶ!未来の遊園地」《スケッチオーシャン / Sketch Ocean》。紙に魚をお絵描きしてスキャンすると、命が吹き込まれて目の前の海で泳ぎ出す。魚に触れたり、エサをあげることも。魚は部屋を出てミュージアムのなかを泳ぐ。特にマグロは物理的距離を超えて、世界中のチームラボの展覧会の海まで泳いでいく。

チームラボ スケッチオーシャン 2020- Interactive Digital Installation Sound: Hideaki Takahashi © teamLab Courtesy of Pace Gallery

帰りには、麻布台ヒルズ内にある《スケッチファクトリー》に立ち寄りたい。ここでは《スケッチオーシャン》で描いた魚を缶バッジ、タオル、Tシャツ、トートバッグなどのおみやげにできる。注文すると、描いた魚が空間内に現れ、制作が始まるとプリンターに消えていくしかけもたのしい。

休憩室あり、授乳室あり(麻布台ヒルズ内)、ベビーカーレンタルあり

三鷹の森ジブリ美術館:思いっきり、迷子になろう 

三鷹の森ジブリ美術館は「迷子になろうよ、一緒に。」がキャッチコピーの美術館。ここでは「静かに見なきゃいけない」「触ってはいけない」という美術館でよくあるルールは無し。決められた順路もなく、展示も危険ではないものは触って確かめることができて、井戸の水を酌むなど体験できるしかけに満ちている。どんな風に楽しんでもいい。大人にしばられず、子供たちが好奇心のまま思いっきり遊ぶことのできる空間だ。

三鷹の森ジブリ美術館 中央ホール © Museo d'Arte Ghibli

地下1階から地上2階までの吹き抜けの大空間、中央ホール。天井のガラスのドームに海を泳ぐ黄色いクジラや、妹たちと泳ぐポニョが描かれ、階段や廊下の手すりには取れそうで取れないガラスの"ふしぎ玉"が輝く。螺旋階段や空中廊下、張り出したテラスが子供の冒険心をくすぐる。晴れた日には窓をあけて光と風が入るこの空間にも、作品の保護より、居心地の良い場としての美術館をつくりたいという哲学が現れている。

三鷹の森ジブリ美術館 映像展示室「土星座」 © Museo d'Arte Ghibli

地下1階にある映像展示室「土星座」は、初めて映画を鑑賞する子供のための小さな映画館。三鷹の森ジブリ美術館とジブリパークでしか観られないオリジナル短編アニメーションは、子供が楽しめるようほっとするお話が多い。小さな子供が怖がらないように、映画館には窓が設けられ、天井には太陽や飾りの工夫がされている。

チケットは日時指定の予約制、おむつ替えスペースあり、授乳室あり(スタッフに声をかけてください)。館内は階段や狭い場所が多いため、ベビーカーは地下でお預かり。赤ちゃんと一緒は抱っこひもがおすすめです。

東京国立近代美術館:日本最大のコレクション展で好きな作品を探してみよう 

皇居外苑北の丸公園のなかにある東京国立近代美術館。子供が少し美術館に慣れてきたらチャレンジしてみたいのが、高校生以下観覧料無料の所蔵作品展「MOMATコレクション」。日本の近現代美術の流れを紹介する国内最大規模のコレクション展示で、お気に入りの作品を探してみよう。歩き疲れたら、4階にある「眺めのよい部屋」で、お濠を見ながらゆっくり休憩を。

東京国立近代美術館 眺めのよい部屋 撮影:著者

子供向けの鑑賞用教材が豊富であることもお伝えしたい。「みつけてビンゴ!」は子供が大人と一緒にコミュニケーションしながら美術館を楽しむことを助けてくれる鑑賞用ツール。ビンゴに描かれている「まる」「キラキラ」「あお」「いす」などの、色や形、イメージを子供と探すのが楽しい。小・中学生向けのガイドをデジタル化した「MOM@T Home こどもセルフガイド」にも、鑑賞のヒントが沢山詰まっている。

東京国立近代美術館 みつけてビンゴ!

注意したいのが、最寄り駅東京メトロ竹橋駅から美術館に一番近い「1b出口」にはエレベーター等がないこと。そうとは知らずに出てしまい、通りがかった人がベビーカーを運んで助けてくれた思い出が著者にもある。ベビーカーなどでおでかけの際はお濠沿いを歩くバリアフリールートをチェックしてほしい。

おむつ替え台あり(多目的トイレ)、授乳室あり、ベビーカーレンタルあり

東京都現代美術館:地図を片手に探検する

水辺の下町エリア、清澄白河にある東京都現代美術館。展示室に入らなくても屋外彫刻などを鑑賞することができる。子供と散策する際には、1階のインフォメーションで配布されている「MOT みつける MAP」をもらおう。展示室以外のパブリックスペースの作品がイラスト入りで紹介されており、宝探し気分で美術館を回ることができる。

東京都現代美術館 MOT みつける MAP

美術図書室の隣に併設されている「こどもとしょしつ」は、収蔵作家や展覧会に関連した子供向けの本、現代美術や展覧会に親しむきっかけとなる本を用意。奈良美智草間彌生など、現代美術作家が描いた絵本を一緒に読むのも楽しい。レストラン「100本のスプーン」では、離乳食が無料。また、料理が届くまでの時間に塗り絵を楽しんだり、キッズスペースもある。

東京都現代美術館 ギャラリークルーズ

不定期で開催されている「ギャラリークルーズ」「ワークショップ」も親子で楽しめる内容のものが多い。毎年開催されるTOKYO ART BOOK FAIR(2024年は11月28日~12月1日開催)においても、絵本を楽しむことができる「Kids’ Reading Room」も行われている。美術館で不定期に開催される託児サービスも見逃せない。

隣接している木場公園には、リニューアルされた「南の冒険広場」など子供が喜ぶ遊具がたくさんある。疲れてしまった時のリフレッシュにも最適だ。

おむつ替え台あり(多目的トイレ)、授乳室あり(地下1階は給湯器があり、男性も入室可能)、ベビーカーレンタルあり

サントリー美術館:様々な年齢の子供に向けた取り組みがある 

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館。ここでは「美を結ぶ。美をひらく。」のミュージアムメッセージのもと、様々な年齢の子供たちが楽しめる取り組みが展開されている。

「わくわくわーくしーと」は、小中学生向けの鑑賞支援ツール。著者が特におすすめしたい点は、鑑賞用ツールが展覧会ごとに毎回制作されていること。鑑賞のための豆知識や美術館を楽しむルールが書かれた封筒型のシートと、ミッションが書かれた4種類の厚めのシートで構成。形を探したり、気に入った作品をメモし、封筒型のシートに入れて持ち帰る事ができる。

サントリー美術館 サン美美術部手帳

これまでの子供への取り組みの対象が小・中学生中心であったことから2020年に始まった、中学生・高校生向け「サン美美術部」はサントリー美術館が近年もっとも力を入れている活動のひとつ。来館した中学生・高校生に「サン美美術部手帳」を配布。メモを書き込んで鑑賞したり「部活動」としての特別イベントにも参加できる。来館時に受付で手帳を見せるともらえる部活動スタンプがたまると特典も。さらに特典が受けられる「登録メンバー」も募集している。

サントリー美術館 サン美美術部 イベントの様子

そのほか、中学生以下の親子の入館料が割引になり、予約不要のワークショップや、鑑賞支援ツールを使って対話しながら鑑賞を楽しめる「ファミリータイム」や、サントリー美術館とサントリーホールがコラボレーションした3歳から6歳対象の芸術体験「いろいろドレドレ」などイベントも盛りだくさん。取り組みは、公式ウェブサイトのほか、サントリーホールと共同で子供向け情報を発信する「サントリーアートキッズクラブ」でも掲載している。

おむつ替えスペースあり(多目的トイレ)、授乳室あり(東京ミッドタウン内)、ベビーカーレンタルあり(数に限りあり)


*Tokyo Art Beatでは展覧会・イベントページで「#子連れで行きたい」展覧会の情報を随時更新中。こちらのタグをぜひチェックしてほしい。

荒田詩乃

荒田詩乃

ライター、インタビュアー。市役所、NPO法人、公共ホール勤務などを経て、インタビュー・執筆を行う。畑を耕して野菜を育てるのがよろこび。