「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2024」が10月に開幕。今年のキーワードは「えーっと えーっと」

京都市内各所で10月5日〜27日まで実施。国内外の実験的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会をつなぐ

ムラティ・スルヨダルモ『スウィート・ドリームス・スウィート』 Melati Suryodarmo, "Sweet Dreams Sweet" (2013-2024), performed at the Hamburger Bahnhof Museum for Contemporary Art, Berlin in 2018 © Reinhard Lutz

国内外の実験的な舞台芸術が京都に集う

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2024」が10月5日〜27日まで京都市内各所で開催される。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」は、国内外の実験的な舞台芸術を創造・発信し、芸術表現と社会を新たな対話のかたちでつなぐことを目指して、2010年より毎年開催されている京都発の国際舞台芸術祭。今年で15年目を迎える。2020年からは川崎陽子、塚原悠也(contact Gonzo)、ジュリエット・礼子・ナップが共同ディレクターを務めている。

今年は、「えーっと えーっと」をキーワードに世界各地の舞台作品を上演。個人と集団、自己と他者のあいだの折衝や、様々な歴史、個人的・文化的政治的な記憶をどのように形作るか、そして過去との対話のなかでそれらの記憶を再構築することなどについて考えを促す作品を紹介する。

「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2024」メインヴィジュアル ©︎ 小池アイ子

プログラムは、「Kansai Studies」、「Shows」、「Super Knowledge for the Future [SKF]」で構成。上演プログラム「Shows」には14演目がラインナップしている。

インドネシアのムラティ・スルヨダルモは、上演される地域に暮らす28名の女性によって行われるパフォーマンス『スウィート・ドリームス・スウィート』を、京都市役所本庁舎屋上庭園で実施。さらに展示「TIDAK APA-APA」では、アジア人女性であるスルヨダルモ自身の身体が不安定なバターの塊の上で踊る代表作『Exergie - butter dance』を収めた映像作品が紹介される。

ムラティ・スルヨダルモ『スウィート・ドリームス・スウィート』 Melati Suryodarmo, "Sweet Dreams Sweet" (2013-2024), performed at the Hamburger Bahnhof Museum for Contemporary Art, Berlin in 2018 © Reinhard Lutz

またアーティスト同士の協働によって生まれる作品も複数上演され、東京を拠点に活動する松本奈々子と、台湾の原住民族タイヤル族にルーツを持つアンチー・リン(チワス・タホス)は、日本の民話とタイヤル族のオーラルストーリーを参照し、初めての共同プロジェクトとして新作『ねばねばの手、ぬわれた山々』を制作。

松本奈々子&アンチー・リン(チワス・タホス) © Anchi Lin

北九州の劇団ブルーエゴナクを主宰する穴迫信一と、ダンサー・振付家の捩子ぴじんは、両者がかねてから関心を寄せていたという死生観をテーマに、初の共同演出に挑む。音楽はテンテンコが手がける。

穴迫信一 × 捩子ぴじん with テンテンコ © みずの紘

中国生まれでベルリンを拠点に活動するチェン・ティエンジュオと、ジャカルタ出身のダンサー・振付家であるシコ・スティヤントは、インドネシアのラマレラ村で得たインスピレーションをもとに、伝統的に行われてきた捕鯨を集合的な儀式に昇華したパフォーマンスを披露する。

チェン・ティエンジュオ&シコ・スティヤント © Camille Blake

ニューヨークで長く活動した余越保子は、2022年に愛知県芸術劇場で初演された『リンチ(戯曲)』を関西で初上演。「第20回AAF戯曲賞」で大賞を受賞し、「上演不可能」とも言われた羽鳥ヨダ嘉郎による戯曲にダンスでアプローチする。

余越保子/愛知県芸術劇場 © 前谷開

東アジアにおける帝国主義を掘り下げた三部作で国際的に高い評価を受けた韓国出身のジャハ・クーは、新作『ハリボー・キムチ』を上演。人々の生活に根ざす食文化、近年に欧米でも人気が高まる韓国料理をモチーフにしたパフォーマンスだ。

ジャハ・クー/CAMPO © Bea Borgers

2019年以来の本芸術祭への参加となるイランのアミール・レザ・コヘスタニは、逮捕されたジャーナリストの解放を求める運動や、難民が命を賭して突入する夜の海底トンネルなど、「走ること」にまつわる実話を織り込んだ『ブラインド・ランナー』を披露する。

アミール・レザ・コヘスタニ/メヘル・シアター・グループ © Benjamin Krieg

このほか、「Shows」にラインナップしている14演目のうち6演目は、京都と埼玉で開催される「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル フェスティバル」とのパートナーシップによって上演される。

アレッサンドロ・シャッローニ © MAK

さらに、リサーチプログラムの「Kansai Studies」では、アーティストが中心となり、フェスティバルが根ざす関西地域の文化を継続的にリサーチ。活動の成果やプロセスを、オンライン図書館として特設サイトに公開する。リサーチメンバーとして、石川琢也、内田結花、前田耕平の3名が名を連ねる。エクスチェンジプログラム「Super Knowledge for the Future [SKF]」では、実験的な表現が映し出す社会課題をともに考え、議論すべく、様々なプレイベントやトーク、上映会、レクチャーなどを予定している。

各プログラムの前売りチケットは、8月9日12:00から発売開始となる。

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2024

会期:2024年10月5日〜27日
会場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、THEATRE E9 KYOTO、京都府立府民ホール“アルティ”、京都市役所本庁舎屋上庭園、堀川御池ギャラリーほか

https://kyoto-ex.jp/

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