約46億年にもわたる地球の歴史のなかで、史上最大の陸上動物とされている恐竜。その恐竜の進化の秘密をひもとく「巨大恐竜展」がパシフィコ横浜で7月13日~9月14日まで開催されている(*会期延長されました)。
本展は、ロンドンの大英自然史博物館(Natural History Museum, London)で開催され、1月に大好評のうちに閉幕した企画展「Titanosaur:Life as the Biggest Dinosaur」の国際巡回展。横浜での開催は記念すべき第一会場目となる。恐竜大好きな子供から、太古の生物の歴史に思いを馳せたい大人まで、幅広い層におススメのこの夏必見の展覧会だ。
みどころは、日本初公開である、ロンドンから来日した全長約37メートルの「パタゴティタン・マヨルム」の全身復元骨格標本! 世界最大級の巨大竜脚類「パタゴティタン・マヨルム」について、大迫力の全身復元骨格標本と、インタラクティブ展示でわかりやすく紹介されている。
また、福井県立恐竜博物館、福井県立大学恐竜学研究所の監修のもと、竜脚類以外の恐竜や恐竜以外の標本も各地から集めて一堂に展示。豊富な標本で、恐竜の繁栄の歴史や、恐竜以外の古生物や現存の哺乳類、生物の進化も知ることができる。
さらに、福井県立恐竜博物館をはじめ、国内外の博物館におけるハイクオリティな恐竜ロボットを手がける株式会社ココロ製の迫力満点の恐竜ロボットも展示。動く標本さながらの実物大のリアルな恐竜の姿は大人もびっくりするはずだ。
ナガスクジラのような生きている動物だけではなく、マンモスや魚竜といった絶滅動物も含めて「巨大な」生き物が集められている。空を飛ぶ爬虫類であるプテラノドン(福井県立恐竜博物館蔵)は、翼を広げた幅が10mに達するものもいたという。これらの標本を通して、生物はどのように巨大化したのか、なぜ大きくなる必要があったのかを考えたい。
大きな恐竜と聞くと、ブラキオサウルスやアルゼンチノサウルスといった長い首をもった草食性の竜脚類がイメージされるが、他のグループでも大型化は起こっている。肉食恐竜のティラノサウルスやスピノサウルスも展示。全長13mに達するティラノサウルスも、原始的な種では2mほどの体長だったのだという。様々な恐竜の進化をたどってみよう。
本展の目玉である、パタゴティタンの巨体に圧倒される。パタゴティタンとはアルゼンチンのパタゴニアで見つかった前期白亜紀の竜脚類ティタノサウルス類。彼らはティタノサウルス類のなかでも最大級の種で、生存時は全長約37m、体重約57tあったとされ、現在陸上最大の動物であるアフリカゾウ9頭分よりも重いのだという。
この巨体はどのようにして獲得されたのか、小さな卵から孵った雛は、どのような試練を生き延びなければならなかったのか。タッチパネルを駆使した体験型展示で楽しみながら学ぶことができる。章の末尾には大英自然史博物館からの深淵なメッセージも。
パタゴティタンの大きさを堪能した後には、ティタノサウルス類以外の竜脚類にも目を向けたい。北米ではパタゴティタンより古い後期ジュラ紀(約1億5000万年前)にディプロドクスやカマラサウルスが繁栄し、南米ではアマルガサウルス、日本の福井県ではフクイティタンという竜脚類も見つかっている。アジアでは中国やタイからフクイティタンと近縁な竜脚類が見つかっているので、進化を考えるうえで福井県の恐竜化石は重要な意味を持つ。
草食恐竜は肉食恐竜に食べられるだけでなく、エサとなる植物をめぐって生存競争にさらされる。他の草食恐竜をはるかにしのぐ巨体を誇る竜脚類も、必ずしも地球上の大陸全土で栄え続けていたわけではないようだ。植物を咀嚼することに特化した鳥脚類や、分厚い鎧のような骨で身を守ったヨロイ竜類など、様々な草食恐竜たちの生存戦略を見ていこう。
コラボレーショングッズや展覧会にちなんだオリジナルメニューが並ぶ特設カフェなど、楽しみもいっぱい。夏休みのおでかけにぴったりだ。